501人が本棚に入れています
本棚に追加
「よーし。じゃあ一学期の授業は終わりだ、課題忘れんなー」
手を叩きながら霧谷先生が声を張り上げ、それで話は打ち切られた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おー間宮ぁ。お前そろそろ飲みに行きてえんじゃねえの」
教師の数もまばらになる時刻の職員室。霧谷が白衣をひらめかせて間宮に絡む。周りの目が少ないせいか、はなから敬語も使わない。
「別に行きたくありません。先輩とは特に」
「ふうん。まあオレは良いけど。じゃあ面貸せ」
間宮にとってはそれも嫌だが、どうせ話を聞くまで諦めない。しぶしぶと頷いて職員室を出る霧谷に続く。
美術科準備室に間宮を先に入れると、霧谷は電気を点けて扉を閉める。
「あんまな、不安がらせて放置は良くねえぞ。そーゆープレイじゃねえんなら」
前置きなく切り出された不躾な内容にも間宮は眉一つ動かさない。
「何を聞いたんですか」
「据え膳平らげねえなんて、随分お前らしくもねえな」
「いつの話をしてるんですか。そんなのは、もうずっと」
ヒラヒラと片手を上げた霧谷がそれを遮る。
最初のコメントを投稿しよう!