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 夏休み中でも部活はあって、先生とはしょっちゅう二人で会った。  生物室に行くたびに相変わらず穏やかな笑顔で迎えてくれて「はい、どうぞ」と言いながら、ポッキーやバナナやフランクフルトを口に入れられる。めっちゃ口に入れてくる。すごいニコニコしながら。威圧感ハンパない。絶対に断れない。  けど──未遂で終わったあの日から先生はオレに触らない。あんなに接触過多だったのに。触らないと死んじゃう病気かと思ったのに。 (ヤりたがってるのオレだけなの。つーか、オレがヤることしか考えてなさすぎなの……)  これじゃ、仲は良いけどただの先生と生徒だ。会った頃より後退してる。関係が進むのをためらい出したのには、何か理由があるんだろうけど、何も言ってくれない。 (言ってくんなきゃ分かんねーのに──先生のバーカバーカ)  こんなきれいな海に来てるのに一緒にも居られない。遠くで生徒に囲まれている。貝の生態でもなんでも教えてればいい。  今日、間宮先生は接点のなかった一年生達からの注目を一気に浴びた。
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