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「だから好きだって!……何回言わせんだよ。しつけえ!」
「ぶっはははは。のってくるお前もやべーわ。何回言ってんだよ──」
乗せられた手に力が入り、ぐいっと右白に引き寄せられる。
「そういうとこすっげー好き!」
「──っ」
やべえ。気を抜いた。冗談にして流そうとした空気が一瞬にして右白優勢になってしまう。
「オレにしろよ」
「有り得ませんね」
──オレと右白が顔を見合わせた。フルフルと首を横に振る。言ったのはオレじゃない。
「僕の目の前で汐見君を口説くなんて標本にされたいですか右白君」
振り返ると腕を組んで先生が立っていた。潮風を受けた長い前髪が揺れて、冷ややかな瞳がオレ達を見下す。どう見ても怒ってる。オレに?右白に?
「つくづく先生らしくねーよなあんた。言わねえだろ生徒にフツー」
右白が立ち上がり先生と向かい合った。ピリピリとした嫌な雰囲気に包まれる。
「それはどうも」
「褒めてねえから。先生、汐見は諦めてよ」
「ちょ、右白!」
「できません。僕には汐見君が必要です」
言い切る先生にオレが驚く。
(そんな風に思ってたの?それオレに向かって言って欲しかったよ!)
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