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「オレにも必要だって言ったらどうすんだよ」 「譲れません。一番──大事な人なんです」  やばい。嬉しい。今すぐ二人きりになってソコのところを詳しく問い質(ただ)したい。 「あんたこいつ泣かすじゃねえか。信用なんかできねえんだよ」 「右白君からの信用は必要ないです」  激昂する右白に先生は淡々と答えている。ちょっと先生がぶっちゃけ過ぎていて、そろそろ止めないと右白が暴走しそうだ。 「大変なことになってんねー」  肉を焼いていたはずの左十が横に立っていた。周りを見ると何事かと野次馬が集まりだしている。 「左十、これ……ヤバくね?」 「やばいね」  まだ数人だが、この調子だとすぐにみんなに知れ渡る。霧谷先生も気付いたようで走ってくるのが見えた。  あーもーという左十の声が聞こえて目を戻すと、右白が先生に掴みかかろうとしている。オレが身構えるより先に左十が走り寄った。 「いーかげんにしろよ!お前ダダこねてるだけだぞ!」  右白を羽交い締めにして左十が怒鳴る。 「んだよ、離せよっ、左十には関係、ねえだろ!」 「あーるーよ!オレはお前が好きなんだから。関係あるよね?ほら来いよ」  暴れる右白がポカンとする。そのまま左十に腕を取られてどこかに連れて行かれる。 (え?なに左十。え?そうなの?──おいしすぎない?)  こんなのオレだってポカンとする。 「間宮お前いい加減にしろよ」  もう一人いい加減にしないといけない人が怒られていた。その場でガミガミ言おうとした霧谷先生が周りを見て、間宮先生を連れて行こうとする。 「待ってよ、先生は別に良いだろ!」 「ああ?ダメだ。こいつは大人のお説教が必要なの。汐見は貝掘って遊んでろ」  霧谷先生がオレを見て意地の悪い顔で笑った。その言い方にムッとする。間宮先生と喋らせてもくれない。上がった好感度はダダ下がりだ。 (この騒動の一番の被害者オレじゃねえのかよ!)  アフターケアもしてくれず誰も彼もが自分のことばかりだ。  二人は先生用のコテージに向かって行く。オレはこっそり後をつけた。
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