1/6
496人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ

 部活が終わって、いそいそと生物室を覗きに行く。まだ生物部が活動中だった。間宮先生は中に居るかもしれない。けど部員も居るのに行った所で何もできない。  ──先生とはもう一週間以上も話をしてなかった。  元々の出会いが偶然で、受け持ちの授業も学年が違う。普段よく居る場所も知らない。こうしてみるとオレと先生には何も接点がなかった。このまま恋愛イベントに期待だけしてても、チャンスは巡って来ないかもしれない。 (──今日は粘ってやる)  この間会った時は鍵を閉めているところだった。もう少しで終わるかもしれない、そう思って教室に行きスマホを見ながら暇を潰す。30分くらい経った所で外の音に気付く。いつの間にか雨になっていた。 (泣きっ面に蜂ってこれだよね)  逆に燃える。ここまで来たら待つしかない。生物室まで行ってみると明りが漏れているが人の気配はなかった。 (部活、終わった?)  そろそろとドアを開いて覗き込むとやっぱり誰も居ない。電気がついてるんだから先生は戻ってくる。勝手に部屋に入り人体模型のチャーリーに会いに行った。 「ねーチャーリー、間宮先生どこ行ったのー?」
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!