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「いーくと」
肩に重さがかかる。
「香、重たい」
「いいじゃん、いいじゃん」
なんて、呑気に返事をする。
「朝から元気だな、香は」
香はいつも明るくて、落ち込んでいても香がいると元気にさせてもらえるくらいだ。
「郁人に会えるからだよ」
ニコニコして言う香にどんな顔をしたらいいかわからなくなる。
俺は香のこと、なんとも思ってないのに。
でも、友達としては明るい香のことすごく好きだから傷つけたくない。
でも、告白なんてされてしまえば、ハッキリと口にしなくてはいけなくなる。
今までも、告白はされてきたけど、彩香のことを好きな俺は一度だってOKしたことはなかった。
どうでもいいやつなら、なんとでもいえる。
でも、香はどうでもいいやつなんかじゃないから。
「お前、そーいうことあんま言うな」
自分の肩から、香の手をはずす。
「なんで?彼女いないもんいいじゃん」
香が膨れっ面になる。
「彼女がいるとかいないとかの問題じゃねぇよ」
こんなところ、彩香に見られたくなくて、無意識のうちに近くにいないか探してしまう。
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