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「どんな人?」
「笑顔が柔らかくて、かわいいひとかな」
まさに、俺が思う彩香がこれだった。
初めて彩香に会ったとき「ありがとう」って言う彩香の笑顔が柔らかくて、可愛かった。
その笑顔をみた瞬間、俺の心臓は騒がしくなって、恋をしたことに気てづくのにそんなに時間はかからなかった。
「本当に好きなんだね」
「.......え?」
「郁人、今好きな子のこと思い出してたでしょ?」
「.......まぁな」
誰にも言えない想いだけど、彩香の名前を出さないで人にいうだけでもなんとなく心が軽くなった。
「郁人の好きな人、彩香だと思ってた」
「.......ヘ?」
突然でてきた、彩香の名前に目が見開いていくのがわかる。
「彩香のことを見る目が他を見る目と違う気がしたから」
「気のせいだろ」
そういうだけで精一杯だった。
ここで、もし、俺の彩香に対する気持ちが香にバレてしまったら。
香が彩香のことをよくは思わないはずだ。
だから、そんな思いは知られるわけにはいかなくて。
翔と彩香が付き合い始めたときに、この気持ちを〝気のせいだ〟と思う予行練習をいまからはじめる。
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