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「お前らなんの話してんのー?」
購買からパンを買い終わって、俺らのとこに走ってくる翔。
「別になんもー」
「ふーん、てかさ、香の元気ないけど郁人が原因?」
俺の隣の席に座って、パンの袋を開けて聞いてくる。
「あーうん」
「なんだよ、ついに告られたのか?」
パンを1口、口に放り込んで聞いてくる。
「されてねーよ」
「じゃあ、なんだよ?」
「好きな人がいるって牽制した」
俺の言葉に翔の目が見開く。
「いるっても、本当にいるとかじゃないからな?」
翔には、好きな人はいないことにしていたので、そう付け足す。
「わかってるよ。しかし、やるなー郁人。そんな風に牽制するとは思ってなかったよ」
「.......気の毒な気がしたけど、期待持たせるのも違うかなって」
俺が曖昧な態度を続ける限り、香は期待し続けると思うから。
「そっか、そっか。まぁ、俺は郁人の味方だよ。もちろん香のことも大事だけど」
と、俺の頭をポンポンっと撫でる。
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