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「同じ中学の子なの?」
動揺を見せないように、平然を装う。
「うん。あたしは彩香だと思ってたんだけど違うんだって」
「なんで、そこであたしが出てくるの?」
〝違う〟
それは、あたしと郁人は両思いではないってことを示す。
ショックだけど、ここであたしまで涙を流す訳にはいかない。
「彩香を見る目が違う気がしたの」
「なにそれ、みんなと一緒でしょ?それに、あたしなわけないよ。中学の頃なんて1回話したっきりなんだから」
今と違って、中学のころは本当に接点がないんだ。
ただ、同じ中学だったってだけで。
「彩香、同じ中学だし.......好きな子わからないかな?」
「うーん.......クラス離れてたし、全然見たことないんだよ。郁人のこと」
嘘だよ。
毎日、毎日、わざと郁人のクラスの前を通って探していたよ。
見なかった日なんてない。
「そっかー.......」
郁人が仲良かった女の子たちの顔を思い浮かべる。
あの子かな?あの子?それともあの子?って、考えても考えてももちろん分からない。
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