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「好きになろうと思って好きになるものでもないし、ならいでいよって好きにならないもんでもないからね」
桜苗の言葉に心の中でウンウンと頷く。
あたしだって、郁人のこと、こんなふうに仲良くなるって知ってたら好きにならなかった。
.......そんなふうに考えるけど、考えるよりも先に心はもう郁人を好きだったから。
「この6人の関係は壊したくないよねぇ.......」
「そうだね.......」
郁人のことが好きだけど、付き合えなくたってこうして一緒に笑えている。
それだけで十分幸せなことだ。
だって、前は話すことすらできなかったのに、いまは仲良い友達として話せているんだから。
「告白しなくてよかったのかなぁ」
「告白してたら、向こうも気を使っちゃうもんね」
「だよね。いくら、気にしないでって言ってもそうはいかないよねぇ」
現に、告白をしていなくても、香はこんなに落ち込んでいる。
「そうならないために、先に牽制したんじゃないかな?」
「たしかに。郁人、なんもないのにそんなことわざわざ言わなそうだよね」
あたしの言葉に桜苗が同意する。
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