忘れたいのに、忘れられない、せつない想い

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「亘さん! 沖田先輩…」 「鈴木、大丈夫か?」 「はい」 「愛美ちゃん、秋月くんは?」 「無事です」 「深月ちゃんは、・・・ 」 「あ、いました。こっちに走ってきてます」 「みんな無事だな。ここにいるのは、危険だ。早く客の安全を確認して俺達も非難しよう」 「はい」 「あれ、深月ちゃん、何か言ってない?」 「人差し指を上にさしてるな。上を見ろ・・・ということか?」 「照明だ! さっきの揺れで落ちそうになってる!!」 「秋月、逃げろッ!・・・ ステージから離れ・・・」 メキッ、・・・ガシャーン・・・ドォーーーン・・・!! 亘の声にかぶさって、かろうじてぶら下がり残っていた照明が、 勢いよくステージへと落下した瞬間だった。 「秋月くんッ!」 「秋月ッ!」  ステージは一瞬にして悲鳴と、血の海になり、セットの下から、 秋月の手首だけが垣間見えていた・・・。 しばらく亘達は、何が起こったのかわけがわからないでいた。 ただ大変なことになったことだけは理解できた。 北川深月がステージに上がり、我に返った亘達がそれに続く。 セットをかき分けて何とか秋月の体を引っ張り出すことができた。 怪我は、頭だけで首から下は出血していない。 「深月ちゃん・・・ッ! 待って」 「秋月くんッ! 秋月くん・・・ ッ!」 「頭からの出血がひどい・・・。深月ちゃん、動かしちゃダメだ」 「でも、沖田くん・・・」 「深月ちゃん、落ち着いて対処しよう。・・・愛美ちゃん、救急車! 救急車呼んで!!」 「呼んでるんです、呼んでるんですけど・・・、携帯が繋がらないッ・・・」 「くそっ・・・。この騒ぎで電波がイカれてやがるのか!」 「秋月くん、・・・ 秋月くん・・・!」 秋月の手を両手で握りしめながら、意識のあるなしを確かめようと、 北川が何度も、秋月の名を呼びそれを繰り返した・・・。
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