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「同い歳の子、いるかな?」
「どうかな。いたら転校して来るだろうね」
「男子かな、女子かな」
「まだ同い歳で転校して来るって決まったわけじゃないよ」
「そうだけど……女の子だったらいいなぁ。陽生ちゃんは? どっちがいい?」
「僕はどっちでもいいよ」
「あ、でも女の子だったら陽生ちゃん、取られちゃうかな。それはちょっと嫌……かも」
「そんなことを考えるの? 紅実はおませだね」
「おませ? どういう意味?」
「ふふっ」
「あ、笑って誤魔化した! もう、陽生ちゃんってばすーぐ大人ぶるんだからー」
小学6年生の私、真柴紅実は幼馴染の小路陽生と過ごす毎日が全てだった。
勿論他にも友だちはいたけれど陽生ちゃんと過ごす時間はとても愉しくて私にとっては特別なものだった。
しかし──そんな愉しくも平穏な毎日が打ち破られてしまう日が来るなんて、今の私には知る由もなかった。
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