第四章 社会人時代

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ピピッピピッピピッ 「……ん」 微かに聞こえて来た目覚ましのアラームに意識が徐々に浮上する。 薄っすら瞼を開けると眩しい光が入り込んで来た。 (もう朝……かぁ) 結婚式から二日後、今日から私も朔も通常の出勤モードだ。 「朔……起きて」 「……」 「朔、朝」 「……ん」 隣で寝ている朔は少し身動ぎしてそのまま私の体を抱きしめた。 「ちょっと……朔、起きないと会社遅刻しちゃうよ」 「……ん」 「もう先刻からそればっかり。私、先に起きるからね」 体に回されている朔の腕をやんわり退けてベッドから出ようとすると 「……何処行くの」 退けた腕が素早く私の体に戻りギュッと締め上げた。 「ちょ…! 放して、朔。朝食の準備しないと時間が──」 「時間……まだ余裕」 「へ?」 「まだあと……30分」 「……」 朔の言葉を受けてまじまじと目覚まし時計を見ると確かにいつも起きる時間より30分程早かった。 「え、なんで? アラーム、鳴ったのに」 「俺が弄った」 「は?」 「紅実が意識飛ばしていた間に設定時刻弄った」 「い、意識飛ばしたって…っ」 思わず昨夜の激しい行為を思い出してしまいカァッと顏に熱が集まった。 「30分あるから……イチャつける」 「はぁ? 何それ──って!」 朔の言葉を受け止める間もなくいつの間にか朔が私に跨っていた。
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