第二章 小学生時代

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「話し掛けても、なに訊いてもずっとだんまりで。小路くん以外だぁれも十六澤くんとまともに話したことがないんだよ」 「え」 (嘘でしょう? 私にはめちゃくちゃ暴言吐いたわよ!) 「でもまぁ、とりあえず十六澤くんが男子でよかったぁ」 「……有紗って陽生ちゃんのこと、好きなの?」 「え? やだぁ、紅実ったら知ってるくせにー!」 「痛っ」 力任せにバンバンと背中を叩かれた。 「でも、わたしだけじゃないよ」 「え」 「小路くん狙っている女子、めっちゃいるからね」 「……」 「紅実はさ、小路くんと幼馴染ってだけで安心しているかも知れないけど、そんなの全然有利でもないからね」 「……」 有紗の言葉がただの負け惜しみに聞こえなかった。 確かに私と陽生ちゃんは幼馴染ってだけの関係。物心ついた時から一緒にいるから陽生ちゃんのことは何でも分かっているつもりでいた。 (陽生ちゃんって好きな子、いるのかな) だけどそういった色恋沙汰に関することは何も知らなかった。 それは私も一緒だった。 (私……陽生ちゃんのことちゃんと好き、なのかな) 改めて自問自答してみるけれど明確な答えは浮かんで来なかった。
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