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「そうなんだよねえ、しかし、腫瘍ができているのはまちがいない。だからこの人参果はジャンピング遺伝子を持っているんじゃないかって思うんだ」
「ジャンピング遺伝子?」
「いや、説明は後回しにしよう。重要なのは説明じゃない。いま起きていることのほうだ。ジャンピング遺伝子によって人が癌化するとなると、花になったという彼女があぶない」
*
「あの角を右に曲がってください。あとはそのまま道を進んでいけば彼女の家が見えてきます」と張劉帆は山下に言う。
「けっこうウルムチの中心から離れているんだなあ。こんなに遠いとは思ってもなかったよ、いやさすがは中国、日本とはぜんぜん違うな。おっと電話だ、誰からだろう」
ポケットから携帯を取り出し画面を見ると小路丸からだった。
「おれだ。国際電話なんかかけてこなくってもいいだろう。金かかるぞ、大丈夫か」
「あとで先輩に請求するから大丈夫です。払ってくれますよね。じゃなくって、大変です。今すぐ彼女さんのところに行ってください。それでなにがなんでも病院に連れて行ってください」そして小路丸は今井先生から聞いた仮説を山下に説明した。
電話を終えて山下は隣にいる張劉帆に「急がなければいけないようだ。ちょっと飛ばすぞ」
言うと同時にアクセルを踏み込んだ。
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