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 小路丸はテーブルの上の鉢植えを見た。ずっと見つめている。しばらくして顔を天井に向けて天井を見つめた。そしてまた視線を下ろして鉢植えを見つめる。今度は目を閉じた。なにか考え込んでいるようだったがしばらくして目を開いた。小路丸の視線の先に鉢植えの花がある。小路丸の顔色がみるみるうちに真っ青になる。 「ぎゃあああああああ」 「ちょっとまて、そんな大声をあげるな、そこまで大声をあげなくてもしっかりと聞こえるから」と山下が言う。 「せ、せ、せ、先輩、なんてものを送ってくるんですか、死んじゃったらどうするんです、元は人なんでしょ」 「いやお前、さっきは人が花になるなんてありえないって言ってたじゃないか。ひょっとして信じてるのか」 「信じるも何も、枯れさせてしまったらどうするんです、私、サボテンだって枯らしてしまうんですよ」 「……ぷ、はははは、悪い悪い、嘘だ」笑いながら山下は謝った。 「え、嘘?」 「送ったのは普通の花だ。お前、今日が誕生日だろう。誕生日のプレゼントだ。それに送ったそれは生花じゃなくって造花だ、いくらお前でも枯らすことなんてできないから安心しろ」  それを聞いて真っ青だった小路丸の顔が今度は赤くなった。
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