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小路丸がそのサイトにアクセスするとそこは中国語で書かれたSNSサイトだった。アプリのダウンロードボタンはすぐに見つかり、少し不安になりながらもダウンロードしてインストールする。中国語はさっぱりできない小路丸だったが、SNSのアプリならだいたいどれも似たようなものである。それほど苦労することなく会員登録を済ませて山下のIDを検索し、山下に申請を行った。すぐさま山下から通話の着信通知が来た。
「おう、悪いな。といってもこの時間だ、店の方は落ち着いたころだろう」
「ええ、まあ店は閉めたところなので長電話しても大丈夫ですけれど」
「ちょっと込み入った話で長くなるから国際電話じゃ金がかかってしかたない。だからSNSで電話にすることにしたんだ」
「先輩、ひょっとして中国にいるんですか?」
山下は小路丸の学生時代の先輩で、口も性格も軽いが身も軽く、フリーのカメラマンとして一年中どこかの国を飛び回っている。
「ああ、わけあって今はウルムチにいる」
「ウルムチって言われても中国のどのあたりかさっぱりわからないですよ。北京とか上海とかだったらわかりますけれど。もっとも先輩がそんな有名すぎる場所にいくはずなんてないから、どんな地名を言われてもわかりませんよ。唯一わかるのは僻地だろうってことぐらいですよ」
「ウルムチは新疆ウイグル自治区だ。それにウルムチは結構な大都市だぞ」
「新疆ウイグル自治区って言われても余計わかりませんよ」
「カザフスタンの隣だ」
そう言われても小路丸にはピンとこない。
「はいはい、わかりました、場所はあとで調べておきます。で、そんな場所からどうしたんですか」
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