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「食事は、ちょっと今は食欲がないので、僕は食べないですけど、会ってくれるのであればどこでもいいです」
「なにかあったようだな、ま、詳しいことは会ってから聞こう」と山下は言って、張劉帆に個室のあるレストランの名前を伝えた。
山下が店に入って席につき、何を食べようかとメニューを見ているとしばらくして張劉帆が浮かぬ表情でやってきた。
「どうしたんだい、今日は人参果を食べに行ったんじゃなかったのかい」
「ええ、そうなんです。彼女のお父さんが人参果を食べさせてくれるというので、彼女の実家に行ったんですよ」
「ええっ張くん、いつの間に彼女なんてつくったんだ」
「いや、まだ付き合って半年ほどなんですけれど、仕事の関係で出会うことがあって」照れながらそう言う。
「なかなかやるな。で、彼女の実家にも呼ばれるってことはもう、結婚も考えているのか」
「それが、いろいろとあって、彼女はウイグル人なんです。なのでムヘンメトさん、彼女のお父さんの名前ですが、ムヘンメトさんは漢民族の僕との結婚、いやお付き合いさえも許してくれていないんです」
「それはまた厄介な話だな、いやどこの国でも父親が最大の敵か」
「お母さんの方は認めてくれているんですけれどね」
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