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「ええ、どういうことですかと聞きなおしたんですが、花になってしまったとしか答えてくれず、その後、人参果は食べないでくれと。山下さん、人が花になるって、そういうことがあるんでしょうか。僕は彼女がどうなってしまったのか、なんで人参果が登場するのか、何が起こったのかさっぱりわからなくって」
*
「ということなんだ」と山下は言った。
「それでわたしにどうしろというんです」
「だから人が花になるのかどうか調べてほしいんだ」
「無茶ですよ。そもそも本当に花になってしまったのかもわからないんでしょう」
「……そうだよな」
「ちょっとこれだけじゃあ調べようがないですよ、もうちょっとなにか情報はないんですか」
「おお、そうだ、宅配便の荷物だ、さっき届いたと言っていたな」
「ええ、届いてますよ、結構大きいですね。何を送ってくれたんですか。あ、開けてみればわかることか」
「そうだ、今開けてくれないか」
「わかりました、ちょっとまっててください」と携帯をテーブルに置いて、ダンボール箱を開け始めた。
「おや、花ですよ。植木鉢に入った」と箱の中から鉢植えの花を取り出して小路丸は山下に言った。
「それが、そうだ。花になった張くんの彼女だ」
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