観測 2

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観測 2

 いっぽう、山下はまだ中国にいた。  撮影の仕事は終わったが、張劉帆のことが心配で中国での滞在を伸ばしている。幸いなことに次の仕事はまだ入っていない。彼の財布には不幸なことだったが、そういうことはあまり気にしないのが山下だった。 「依然として彼女には連絡がつかないのかい」 「ええ、電話をしてもつながらないんです。SNSのほうも駄目で、そもそも見ていないようなんです」 「彼女のお母さんからはなにか連絡はないのか」 「はい、そちらもあれっきりで」 「そうか、手詰まりになったな。小路丸からもまだなにも連絡がないしなあ」と山下は考え込む。「よし、俺がちょっと彼女の実家まで行ってみることにしよう」 「え、それはちょっと無茶じゃないですか。気持ちはありがたいですけれど」 「大丈夫だよ、当たって砕けろだ。いや、砕けちまったらまずいか。彼女の知り合いで近くに来たから寄ってみたということにして会えるかどうか試してみようじゃないか」  思い立ったら吉日、いや無策で暴走の山下である。そのままホテルを飛び出してレンタカーを借りに行った。山下一人では心配なので張劉帆ももちろんついていく。     
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