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 私の隣にはいつも死神がいる。  特に何かをするわけではもく、風船のようにフワフワと浮いている。  物心がついた時から、幼なじみのように。それはいて当たり前の存在だった。  両親に聞いてみても、子供戯れ言だと相手にされず、他の人には見えず、私にだけ見えて触れることができる。  ちなみに死神と名付けのは、私。  本当に死神かどうかは知らない。  もしかしたら天使かもしれないけど、格好がマンガや映画によく出てくるボロボロの布に、大きな草刈鎌みたいな刃物を持ってるから勝手にそう呼んでる。  会話なんてしたことないし、そもそも通じているのかもすら分からない。ただただ隣にいるだけ。  何か危害を加えるわけじゃないから、いないものとして振舞っていたんだけど、ある日から私の日常は激変した。 ――天使の囁き  地元の人の間で呼ばれている崖先は、綺麗な名称とは裏腹に自殺の名所として、有名なところだ。  そこで初めて死神と会話した。
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