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――二時間ドラマに出てきそうな崖。
綺麗な名称とは異なり、幸知の第一印象はその程度だった。
下は荒波。掴まるところや落下防止の柵もない。
春一番でも吹こうものなら、大人でも落ちる。そうなったらさすがに生きてはいられない。少しでも体勢を崩せば真っ逆様、行き着く先は神のみぞ知る。
空には満天の星空、崖下は荒ぶる海。
周りには誰もいない。
風と波の音だけ聞きながら、目的は果たした幸知は何の躊躇いもなく、無心で身を投げた。
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