芍薬の寺

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ある山深いところに、小さな寺がございました。 そこには、和尚さんが一人で住んでおりました。 ある日、和尚さんが筆を片手に、一句詠んでいると、どこからともなく一匹の子狐がやって来ました。 「おう、おう、これはめんこいの。さあさあ、こっちにおいで」 「コン」 子狐は一声鳴くと、そばに来ました。 「どうしたんじゃ?迷子になったのかな?」 「コン」 「そうか、そうか。母さんが迎えに来るまで、ここで遊びなされ。どれどれ、何か食べ物を持ってきてあげよう」
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