芍薬の寺

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子狐との、それからの毎日は、それはそれは、楽しい時間でありました。 我が子のようでもあり、孫のようでもありました。 「これこれ、いたずらな子じゃ。洗濯物をくわえたら、また汚れるじゃろ?悪い子じゃの。ハハハ…」 そんなある日のこと。和尚さんが突然倒れました。 子狐は、 「…クン、クン…」 と鳴くと、和尚さんの体を鼻先で押しました。 それはまるで、早く起きて、と催促しているかのようでした。 しかし、和尚さんは、うんともすんとも言いません。 すると、子狐は走って、どこかに行ってしまいました。―
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