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サッカー部の休憩中に武に差し入れをする。
「はい、ポカ○……。」
「おお~サンキュー。」
「どうなのよ?もうすぐ予選でしょ?」
「今年は絶対、行くから。全国。応援来いよ?」
「予選決勝から行くわ。」
「何だよ、最初から来いよ?」
「ん~~。バイト時間増やしたのよ。寮がある会社に就職出来るとは限らないからさ。
それに…ちょっと気になる事もあって…。」
ペットボトルのお茶を飲み、下を向いて透子は呟いた。
「何だよ…気になる事って…。」
「……ん~~。まだ何とも。気の所為かもしれないしね?」
「何だよ?言えよ。気になるだろ?幼馴染だぞ?頼りにならないかもしれないけどさ…話しくらい聞くよ。楽になるかもしれないだろ?」
「うん……年明け位からさ、なんか、誰かに見られてる様な気がしてね? 駅のホームとか、バイトとかさ。」
「それ、下級生とか他校生じゃないのか?前にも言ったろ?人気あるんだよ、黙ってれば美少女。性格最悪の…。 他校生にそれは分からないからな。そりゃあ……見るだろうな?俺と一緒の時も注目されてるぞ?」
「そういうのとは…ちょっと違うんだけどなぁ…。」
「何処がだよ?」
「う~ん、よく分からない…。」
「透子……そんな適当な理由で応援来ない気か?」
「サッカー部とうちが被ったら、当然、剣道部の応援に来るよね?」
武の後ろから智生が現れた。
「うっす、休憩か?」
「うん、水飲みに来た。」
「ああ、じゃあこれ。後で智生にも届けようと思ってた。冷えてるよ?」
ペットボトルを智生に渡す。
「ありがとう、透子。で、剣道部の応援は来るでしょ?」
「う~ん…剣道部は全国確実でしょ?全国行ったら行くわ。出来るだけバイト入れたい。」
「残念。でも、余計に負けれなくなったね。武も決勝決めないとね?」
智生が笑って言うと、
「ああ、そういう事か…。うっし!頑張るわ。練習戻るな。」
元気に走っていく。
手を振り、笑顔で送り出す。
「透子…なんか元気ないね?どうかした?」
智生は顔色を見て聞いた。
「ううん、平気。女の子特有のあれ…。」
と答えると、戸惑いながら、
「そっか…ごめん。」
と謝る。
「智生……中学生じゃないんだし、私相手に恥ずかしがらないでよ…。」
智生を見て、透子は声を出して笑った。
「嘘だよ…。」
と言いながら。
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