高校3年、春。

2/5
1032人が本棚に入れています
本棚に追加
/257ページ
サッカー部の休憩中に武に差し入れをする。 「はい、ポカ○……。」 「おお~サンキュー。」 「どうなのよ?もうすぐ予選でしょ?」 「今年は絶対、行くから。全国。応援来いよ?」 「予選決勝から行くわ。」 「何だよ、最初から来いよ?」 「ん~~。バイト時間増やしたのよ。寮がある会社に就職出来るとは限らないからさ。 それに…ちょっと気になる事もあって…。」 ペットボトルのお茶を飲み、下を向いて透子は呟いた。 「何だよ…気になる事って…。」 「……ん~~。まだ何とも。気の所為かもしれないしね?」 「何だよ?言えよ。気になるだろ?幼馴染だぞ?頼りにならないかもしれないけどさ…話しくらい聞くよ。楽になるかもしれないだろ?」 「うん……年明け位からさ、なんか、誰かに見られてる様な気がしてね? 駅のホームとか、バイトとかさ。」 「それ、下級生とか他校生じゃないのか?前にも言ったろ?人気あるんだよ、黙ってれば美少女。性格最悪の…。 他校生にそれは分からないからな。そりゃあ……見るだろうな?俺と一緒の時も注目されてるぞ?」 「そういうのとは…ちょっと違うんだけどなぁ…。」 「何処がだよ?」 「う~ん、よく分からない…。」 「透子……そんな適当な理由で応援来ない気か?」 「サッカー部とうちが被ったら、当然、剣道部の応援に来るよね?」 武の後ろから智生が現れた。 「うっす、休憩か?」 「うん、水飲みに来た。」 「ああ、じゃあこれ。後で智生にも届けようと思ってた。冷えてるよ?」 ペットボトルを智生に渡す。 「ありがとう、透子。で、剣道部の応援は来るでしょ?」 「う~ん…剣道部は全国確実でしょ?全国行ったら行くわ。出来るだけバイト入れたい。」 「残念。でも、余計に負けれなくなったね。武も決勝決めないとね?」 智生が笑って言うと、 「ああ、そういう事か…。うっし!頑張るわ。練習戻るな。」 元気に走っていく。 手を振り、笑顔で送り出す。 「透子…なんか元気ないね?どうかした?」 智生は顔色を見て聞いた。 「ううん、平気。女の子特有のあれ…。」 と答えると、戸惑いながら、 「そっか…ごめん。」 と謝る。 「智生……中学生じゃないんだし、私相手に恥ずかしがらないでよ…。」 智生を見て、透子は声を出して笑った。 「嘘だよ…。」 と言いながら。
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!