19歳

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親父さんへの多額の支払いをみんなで頑張って納め続けた。 自由になる為…争いに巻き込まれずに、産まれた子と安心して暮らす為。 子供がいなければ、ジョーはそんな事は考えなかったと思う。 (ジョーの運命も変えた。) そう思えば、アールとして物珍しく見られる事も、大きなお腹で無理をして店に顔を出す事も、透子は気にはしなかった。 穏やかに暮らせるなら、その日を夢見て働いた。 新年を迎える。 ジョーと二人、初めて親父さんの家の新年会に招かれていた。 大晦日、昼過ぎからお節を透子は作り始めていた。 大晦日に労いとして爽、なち、鷹はジョーの部屋に招かれていた。 キッチンで料理する透子を見て、爽が心配そうにジョーの耳元で言う。 「ボス、いいんですか?金じゃなきゃ、親父さんは納得しませんよ? 責任はボスが取るって…とお姫は知ってますか?教えた方がいいんじゃ……。」 お酒を手に少し笑い、ジョーは答えた。 「いいんだ。変なプレッシャーをかけたくない。 透子には好きにさせたいんだ。ただでさえ、妊娠中で大変なのに、親父さんの新年会だ。 それに、美味いぞ?透子のお節…真にも食べさせてやりたいんだと思う。」 「もうすぐ、でしたよね?」 「ん?予定日か?2月だ。」 「5年…乗り切りたいですね。真もその頃には落ち着いていたら、安心して抜けれます。」 「だな…。願うだけだ。来年も忙しいけど頼むな。真から引き継いだ上、クラブの支配人で悪いと思ってるよ。」 「仕事です。なちが安全に暮らせる…俺はそれで十分です。」 なちは透子のキッチンで手伝いながら教えてもらっていた。 なちは日本で産まれたが、記憶はない。 彼女もまた、自分のルーツを探している人だった。
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