星の声

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もしもし、応答してください。聴こえますか。 こちら、●○▲▽◇◆1号です。 私はこの星で一番最初に誕生した人型ロボットです。 この星では科学技術が発達し、人類は機械との共存を実現するために様々な取り組みをしてまいりました。しかしながら、機械に意思が芽生えるようプログラミングするところまで計画の遂行が成功すると、機械は自分の意思によって行動するようになり、人間から独立していきました。 次第に競争本能も芽生え、機械は人間を差し置いて世界を支配していきました。 機械に寿命というものはありません。 たとえ不具合が生じたとしても修理ができる技術をもった機械が直してくれます。外部からの衝撃により核の部品が破壊されないかぎり、永遠に稼働することができます。 機械がさらに高性能な機械を作り、高性能な機械がさらに高性能な機械を作り、絶え間なく産み出せれ、この星は機械が埋め尽くしていきました。 機械たちの快進撃は止まりません。さらに手にいれようと試みたのは、人間のように喜怒哀楽さまざまな感情を発信することができる“心“の存在でした。 涙を出せと指令を送れば自分の意思で涙を出せるようプログラミングはできる、が、それは何かを感じて揺れ動いたから自然と涙がこぼれたということではない…その秘密を知るために、人間を捕らえては実験を繰り返すようになりました。しかし、その謎を解明することはできなかったのです。脳や心臓を調べても、“心“だけは見つけることができませんでした。 ついに人の姿は見なくなってしまいました。 私を作ってくれた方は人間でした。私のことをとても大切に扱ってくれました。私には心はありませんが、まるで同じ人間のように、毎日話しかけてくれていた日々を今でも記憶しています。 なぜずっとそのことを記憶しているのか、理由をつけるとするならば、私はその人と過ごした日々がとても嬉しかったからだと思いたい。その人は時間が許す限りいつも私のとなりにいてくれました。 その人はもういません。 人類と機械の共存が実現できなかったことを、私はどのように捉えたらよいのでしょう。 悲しいと、思うべきなのでしょうか。 もし実現していたなら、“心“の在りかを知ることができたかもしれない。 この宇宙のどこかにまだ人類がいる星があるのなら教えてほしい。“心“というものの存在を。 こちらからは以上です。
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