迷探偵、皆を集めて

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「W、Nは並んだ時にMと空目する可能性が無きにしも非ず。UもVと紛らわしい。Eは例えばエイ〇〇という元号になったら、Aと書く馬鹿が出てくるからそれもナシ」 「残りはDとYとZか……どれだ?」 「濁る音は最近の元号にはない。だから、Yだ!」  おおおーと観客が沸き、私は得意げに傍に据えられたテレビ画面を見つめた。商店街では新元号発表を中継するらしい。  あともう少しで発表の時間だ――。  新元号が発表されると、当てた人たちからは歓声が上がったが、友人の少年探偵は超不機嫌になった。  彼をビールのケースの上から抱き上げながら、「キミの推理も悪くなかったよ」と慰める。 「次の作品はキミをモデルに書いてみる」という僕の言葉に機嫌がなおりかけたが、「タイトルは『Yの悲劇』で」と続けると、「パクリかよ!」と思いきりお腹を蹴られてしまった――。 (終)
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