第1章 バスルーム星の攻防

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「...フム。間違い無さそうね」博士はバーチャル・アナライザーの表示値を見てそう言うと、ビンをハイパー・ガンコ・金庫の中に封印した。 「...カイホウ、シテクレ」再び、バーチャル・スピーカから先ほどの声が聞こえた。 「解放の前に、君たちの司令官と話しがしたい」と、ナタロン博士の3mほど後方に立っていたサリタル皇帝が急に話に割り込んできた。 「......ワカッタ、シレイカン、デアル、ワレラノ、ファラオ、ヲ、テンソル・クウカン・テンソウ、スル、ノデ、ヨウイヲ、タノム」と飛行物体から返事がきた。  ナタロン博士は(...これがサリタル皇帝らしい大胆なところね...)と思いつつ、テンソル空間転送装置の受信準備をした。  やがて、テンソル空間転送装置の透明な筒の中に、虹色に輝く光とともに、1体のヒューマノイドらしき影が姿を現したが、まだ全身が虹色に光っており、詳細な容姿はわからなかった。 「空気成分、気圧、温度、湿度、ウィルス種、、、バス・フローラル香水の香り、、、すべての条件が、ヒューマノイドの生体適合範囲内なので、ナノ・バリア・ウェア無しで大丈夫です」ナタロン博士の部下の一人が転送装置のビューアーを見つつ言った。 「ドアー、オープン!」ナタロン博士の言葉とともに、透明な筒のドアが音も無く開き、中から一人の若い女が姿を現した。 「〇×%△-、アー、マイ&、テ#!、マイク、テス!」その女は言った。  そこからは、ナノ翻訳機が自動的に働き出し、第7銀河の共通言語を話し始めたが...少々なまっていた。 「わらわは、グレン・ベリン帝国のファラオのナーダ・レーアじゃ!」  ナーダの髪の色は朱色と橙色のまだら模様で、髪形全体は風車のようであった。  また、頭部には短い角が二本あり、肌の色は乳白色で、露出度の高い高貴な服に身を包んでいた...が、兎に角、美女であることに間違いはなかった。 「ほう!」サリタル皇帝が妙に感心したような声を出した。
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