第1章 バスルーム星の攻防

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 第1章もいよいよクライマックスです! 最終節 グレン・ベリン帝国のファラオ  2つのヘルメットに閉じ込められた八角形の飛行物体は、そのままナタロン博士の所属する科学省の研究センターに運び込まれた。  そして、ヘルメットから取り出され、超磁場拘束炉の中にガッチリと絶対空間固定されたのであった。  「さて...あなた達は、いったいどこから来たの?」  空中に浮かぶ透明に近いバーチャル・マイクロフォンに話しかけるナタロン博士の後方5mでは、皇帝から1階級昇進を申し渡されたナズとビイの兄弟がハイタッチを交わしていた。  博士は、飛行物体の極近くまでナノ・アナライズ・センサーを伸ばし、飛行物体からの何らかの信号出力を待っていた。  と、空中に浮かぶ、ほぼ透明のバーチャル・スピーカからかすかな声が聞こえてきた。 「...ワレワレハ、、、グレン・ベリン・テイコク・カラ・キタ」  そして、空中に浮かぶ、厚さゼロのバーチャル・スクリーンに、何やら緑色の髪の毛が全て逆立ち、二本の曲がった角が生えている男(?)のヒューマノイドの姿がおぼろげに映し出された。 「...コノ・ジョウタイデハ、ワレワレハ、ミウゴキガ、デキナイ。ヨッテ、サイシュウハカイヘイキ、ヲ、カエスノデ、カイホウ、シテホシイ」  その言葉とともに、ハエほどの大きさの八角形の飛行物体から、何やら花粉ほどのポッドが射出された。(その様子は、ハイパー・バーチャル顕微鏡によって、瞬時に拡大され、スクリーンに投影された) 「確認するので、、、待つように、、、」ナタロン博士はそう言うと、花粉ほどのポッドをナノ・カテーテルに吸い込み、ハイパー・エグジッターから、通常空間に吐き出した。  ポッドはみるみるうちに通常の大きさに戻り、博士の目の前で、透明な4本のバーチャル・アームで空間に固定された。  そして、さらにもう1本のバーチャル・アームが、ポッドの(ふた)を開け、中から最終兵器の虹色の液体の入ったビンを取り出し、空中に浮かぶ金属円盤の上に静かに置いた。
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