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「ふん、お前が? 関羽と二人がかりでも討ち取れなかったお前が討ち取れるものか」
傲然と嘲笑する馬超であったが、張飛はその馬超の顔に思いっきり蛇矛を払った。
その一撃は馬超の表情を一気に凍らせた。
こないだ対峙した時とは全然違う。
これほど重く素早い攻撃ではなかった。
「……なるほど、面白くなってきたではないか」
それでも馬超は退かなかった。
馬超は常に戦場より強敵を求めるような好戦的な男である。
その馬超の前に、命の危機すら覚える猛将が現れたのだ。
武を生きるものとして、この命運を賭ける一戦。
このような醍醐味、決して逃げる訳にはいかないと、馬超は嬉々として大槍を伸べた。
大槍は張飛の太腕を掠った。
血が溢れ出たが、張飛はにやと笑みを向けた。
「へっ、逃げるつもりはねえらしい」
「当然だ。それがしは西涼の錦と呼ばれる馬超だ! 臆病者のすることなどせぬ!」
「だったら、死ぬまで相手してやるぜ!」
互いの意気は頂点に達し、血飛沫く戦場の中、余所目もくれず十合、二十合と競り合った。
この状況下、馬超の奮闘に勢い付いて、馬超以下の武勇八将軍の部隊も苛烈に攻撃をした。
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