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韓遂からの報告通り、劉備本隊はここから少し離れた配置で張郃、陳到とともに龐徳、その他の将を相手していた。
向こうは向こうで、この馬超、韓遂隊を抑えつつ向こうの戦力を削いでいく方針であるようだった。
しかしながら、この陣を組んだと言われる徐庶は抜け目のない男である。
もしこちらが突破してきた時は瞬時に応戦できるように、塁を築いたうえ、騎馬隊が嫌がる大盾と長槍を持った趙雲の殿部隊をすぐに援護できる場所に配置していたのだ。
これだけの厳しい警戒を抜くのである。
「ううむ……」
苦虫を噛んだように唸る韓遂。
やはり、状況が一気に覆るような展開でないと大局を変化させるのは難しいであろう。
それになんとなくだが、韓遂は劉備との長期戦に抵抗があった。
戦っているうちどこか、不穏な空気が陣中を漂っている気がするし、なにかと短慮な馬超が何をやらかすかは自分ですら想像がつかない。
それに兵糧だって、補給路は遠方より運んでいるため一度でも途絶えれば危機的状況にもつながりかねない。
韓遂は今日のこの一戦に賭けていた。
もし、この策略が失敗すればきっと劉備に勝つことはできないだろう。
そこまで思ったほどのいわば、乾坤一擲の大計であった。
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