銅鑼の音

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熱砂の大地。 ぎらついた灼光のもと、馬超の騎馬部隊は遂に動いた。 迎え討ってくる張飛隊に韓遂をぶつけて尚も進む先。 その先に在るのは、張飛の援護と救援を任されている武将の高覧である。 先より高覧は張郃とともに先陣を任されていた。 馬を進め、配置に着く際に高覧は言った。 「なあ張郃。俺はこの戦いが終わったら家に婚約を申し込もうと思っている(ひと)がいるんだ」 「ほう……」 張郃の顔は僅かに綻んだ。 僅かだが、嘲笑の色も見える。 「だから、俺は生きねばならん。死んでは元も子もないからな」 「……フッ、そう言う奴ほど早死にするものだぞ?」 張郃は冗談半分に言った。 その時はちょっとした談笑に終わった。 しかし、事態は冗談では済まなかった。 しかも、笑えない事態へと発展したのだ。 馬超は高覧とその部隊を見つけると、 「見つけたぞ標的高覧。皆の者、奴等に目に物見せてやれ!」 飛ぶ鳥の群れの如く迅速かつ列を維持しながら高覧へ突撃した。 「くっ、馬超め。狙いを変えてきたのか?!」 高覧はいち早く危機を察知し、迎撃の態勢に入った。 この時高覧が指揮していたのは剣と弓を装備した兵士である。
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