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勝敗はもう見えたようなものであった。
この状況を宮中より見て、
「全く仕方ないわね……」
そう言ってため息をつく女の姿があった。
他ならぬ、皇叔夫人の孫尚香である。
孫尚香は側近の黄蓋を呼びつけると、
「今は一勢力の危機です。あなたが密かに集めてる兵士いるでしょ?それとともに司馬懿の援護につきなさい」
そう命じた。
黄蓋はこれにひどく動揺した。
「ひ、姫様しかし、それがしは孫権様の配下で――」
皆までいう前に孫尚香は、
「配下であるからなんですか!」
厳しい目をして怒鳴った。
「あの、ですからわしは呉の国の……」
「呉の国なんてどこに在りますか? 私達の知る天下なんてとうになくなっているのです。兄上、父上をみたでしょう? 知らないと、あそこまではっきり言うのですよ?」
「は、はい……」
「忠誠を尽くす意味がないでしょう! ところどころ記憶がないくせ全く!」
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