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「しかし……」
「しかしも何もありません!今あるのは私と玄徳様の絆だけです!」
「それもない気が……」
「はあ?何よ、あなた何が言いたいわけ? ぶっ殺すわよ?!」
孫尚香の髪が逆立っている。
「お、落ちついいてください姫様……」
「いいからさっさと司馬懿の援護に行ってきなさい! あなたは死んでも勝ちを掴んでこと!いいわね?!」
「お、仰せのままに……」
こうなってしまえば、もう孫尚香を止める手立てはない。
渋々黄蓋は荀彧の許しを得た後、司馬懿の指揮下に入った。
これで、司馬懿の手持ちの兵はおよそ一万三千となった。
兵数は向こうは三万近くあるとの事だが、司馬懿には勝算があった。
まず、長安の防壁を頼りにせず、曹仁との戦闘に備えて長安の先にある丘の方へ陣を敷き、そこで英気を養うよう待機を命じた。
やがて、曹仁の先鋒一万五千の兵隊が到着した。
大将の曹仁は馬上より、丘の布陣を見つめた。
「ほう、先に戦場より有利な場所を見つけて陣を敷くとはな……しかし、相手は旗は司馬というものだ。劉備の陣営で司馬姓に有名将などおらん。まあとはいえ? 有名将であったとしても、俺と互角に戦えるのなんぞ斉の司馬穰苴ぐらいのもんだろうがな! はっはっは!」
曹仁は油断していた。
当然と言えば当然であった。
相手は無名の司馬懿と言う男、聞けば文官だと聞くではないか。
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