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劉備等の間で、謎は深まるばかりであった。
一行の船に大きな揺れがはしった。
「劉皇叔、着きましたよ」
劉備等が船着き場から馬を連れて降りると、冬空に朝日が昇っていた。
大河を望むと、薄っすら光が零れている。
しかしながらも時間とともにそれは大きな耀きへと変わっていった。
緊張感もあったがひさしぶりにゆっくり寝ることもできた。
劉備等は気付かなかったようだが、袋の道士がわざと回り道してゆっくり行くよう指示していたのだ。
「ようこそ、劉皇叔」
後ろから声が聞こえた。
劉備は声に気付き、ゆっくり振り返った。
振り向いた途端、
「なっ?!」
思わず驚きの声を喫した。
なんと、声主の男を中心に百人を超える射手。
それが弓を引き絞り、その鏃をこちらへ向けていたのである。
射手は皆、動物の皮を着た異民族の鎧を着ていた。
間違いない。
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