玉座と老翁

5/21
前へ
/150ページ
次へ
しかし、実際は少し違った。 確かに漢と比べて文化色も違い、建物や武具なども見劣りするかもしれない。 だが、街は活気付いており、市場の品々を運ぶ荷車や商売人でごった返していた。 劉備は町中の様子を見上げた。 「ここは長安とも取引があるのか?」 隣の指揮官に訊いた。 訊かれた指揮官は意外そうな顔をしていた。 この男は捕えられて命の危険すらあるのに何故、こうもどっしりと構えているのだと。 「……取り引き?」 「ああ」 「そうだな、粟、黍、麦。あとは織物だな」 「ほう」
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

430人が本棚に入れています
本棚に追加