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「穀物は族長用の馬の餌にも使われるからな。多くあっても損はしない」
「ここは上客な訳か」
「まあ、そう言われればそうだな。だが、長安のものは質が良い」
「質が良い?」
指揮官は軽く頷く。
「ああ、穀物な。あと俺の胡服なんかも長安から取り寄せた素材からつくらせている」
「なるほど……」
「まあ、ここ最近まで盗賊が多くいたので物が来なくて苦労していたがな」
「ううむ……」
「なに、そいつらからは首をとるとともに取り返しているから問題ない」
「ははは、それはそれは」
それからというもの、目的地に着くまで、指揮官と劉備は歩いている間ずっと話していた。
劉備という男は不思議な男である。
話しだすと妙に引き込まれ、いつの間にか互いに笑みがこぼれている。
これが英雄と評される男の人品骨柄ということなのだろうか。
今までに感じたことのない人の感覚である。
これが非凡な才気というものなのであろうか。
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