玉座と老翁

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指揮官はそう思いながら、やがて目的地の建物前に着いた。 「着いたぞ」 「ほう、ここが……」 劉備は見上げた。 城と言っても長安の屋敷ほどの大きさであった。 門の両端には南匈奴(みなみきょうど)の旗があり、一応それらしくはしてあるが、城というよりここは兵舎であろう。 それにしても匈奴の城というのは独特で、白岩を削ったような見た目をしている。 「ここが我らが主の城だ」 「不思議な造りの建物だ」 「城は特別造りが違うんだ。といっても、大きさは本国の十分の一にも満たないがな」 そういうと、劉備は笑みを向けた。 「指揮官殿、緊張をほぐしくれてありがとう。そなたと話したおかげで気が楽になったよ」 「……須卜籍(しゅうほくせき)
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