玉座と老翁

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指揮官はボソッと言った。 「え?」 「名前だ。俺は須卜籍(しゅうほくせき)という」 そういうと劉備は再び笑みをあらわした。 「ふふ、ありがとう須卜籍殿」 「ふん、礼を言われる筋合いはないよ劉涼州(りゅうりょうしゅう)」 笑ってそういうと須卜籍は城門、というよりは城の入り扉の簾をあげた。 門を開けると、左右に五丈程の長机があり、その中央に道が伸びていた。 奥の玉座には豪華な毛皮を着た男が鎮座しており、それを中心として左右の長机に三十人近い数の老翁(ろうおう)が囲むように座っている。 須卜籍は言った。 「左右におられるのは奥から四角、六角の王達だ。その他、族長や老賢を含めて二十人以上いる」 「では、奥にいるのは?」 「呼廚泉様。於夫羅単于(おふらぜんう)の弟君だ。今は於夫羅単于の代理として玉座に座り、政務を執行されている」 「なるほど」
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