玉座と老翁

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劉備が城に入るや否や、左右の重役たちはそれをぎろと見つめ、ああだこうだと騒ぎ出した。 なかには、 「こんなところに連れてこないで、早く馬超に渡してやれ!」 いきり立ったような声をあげる者や、 「さっさと首級をあげんか!」 という者もいた。 須卜籍はそれに構わず、 「さあ奥の玉座へ」 そう言って手を伸べ、劉備を先へ案内した。 玉座までは独特な模様の長絨毯が敷かれていた。 城は石造りなのに、外と比べてほのかに温かみがあり、玉座の方へ行くにつれ、僅かに高貴な女の匂いがする。
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