玉座と老翁

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「その後兄の於夫羅は実のところどうなった? 生きているとは聞いているが、詳細は知らぬ」 「帰国の機を得るまでという条件の下、長安で軍とともに今も保護している」 「その後、戦闘は?」 「曹操との一戦の時に援軍を出してしてもらった。主に物資の補給と街の治安の維持だ」 「では実戦には参加していないと?」 「そうだ。一人たりとも負傷しておらぬ」 「ううむ……」 呼廚泉は唸るように頷いた。 劉備の返答はなんの色もなく淡々としていた。 あまりの即答ぶりに失礼なのではないかというほどである。 ただ、呼廚泉には好印象だった。 呼廚泉のような武人にとって、理由をああだこうだと言われると、どうも言い訳がましく聞こえるらしく、一問一答で答えられた方がかえって闊達な印象を得られるのだ。 劉備は手元にはこのような義弟が二人もいるので、考えずともああ、呼廚泉にはこうだなと直感でわかるのである。 それで、呼廚泉笑みを浮かべて頷いた。 「なるほど、よくわかった。では単刀直入に聞こう」 「なんだ」
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