玉座と老翁

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しかし、この老賢と同じ意見の者が他にもいるらしく、それら反対派は怯え声で、 「呼廚泉様、しかしご再考を」 「どうか御考え直しを……」 「時期尚早ですぞ」 などと腰を低くして口々に言った。 「むうう……」 仕方なしにと呼廚泉は劉備の方を見て、 「ならば劉皇叔。あなたの兄於夫羅についての評を聞かせてくれ」 と、頼んだ。 流石の劉備もこの時ばかりは青ざめた。 「こ、この玄徳が於夫羅単于を?!」 こういう顔になるのは当然である。 他国の一国臣が、その国の王をその国の王宮で評するなど本来以ての外である。 というより、彼らは正気でいっているのだろうか。 劉備は当然のごとく、 「滅相もない、他国の王をこの玄徳の如きが評するなどあってはならぬ!」
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