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「勝手なのはどっちだよ!? とにかくさっさと離婚届にサインしてくれ。それで、全て終わるだろう?」
「イヤッ!!」
私は大声を上げた。目から涙が溢れ落ちる。そんな私に、夫はため息を吐き、祐奈という女のもとへと戻っていった。
それから三ヶ月、夫は家に戻ってくるたびに離婚を迫った。日が経つごとに、その勢いは増してゆく。もしかしたら、時間が解決してくれるかもしれないと思っていたけれど、私の考えは甘かった。
私は少しずつだけれど、確実に憔悴していった。毎日のように夢で魘され、真夜中に目が覚める。食欲もなくなり、体重が落ちて骨が浮き出していた。このままだと、私は死んでしまうかもしれないと思う一方で、いっそ死んでしまった方が楽かもしれないなどと考えてしまう。だけど、娘一人を残すわけにもいなかいし、娘を道連れにすることもできない。
悩みに悩み、苦しみに苦しんだ末に、私は決心して、離婚届にサインした。そのときにはもう、流す涙も残っていなかった。ただ、ひどく疲れ切っていた。
その日から、夫が家に戻ってくることはなくなった。本当に離婚したんだという実感が、少しずつ湧いてくる。それは、桜が綺麗に咲き誇る季節だった。
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