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「そりゃ……そうだろ。だって──」
「じゃあ、帰るよ?」
「ちょっと、あの……手汗を……」
「そんなこと気にする!?」
離さんとばかりに握る手を深く、そして強くする私。
「駄目、もう離さない」
「は……はい」
バックを片手に私は彼の手を引っ張る。
「荷物隣だ」
「じゃあ寄ってから行くよ」
「だ………誰かいたらどうするんだ!?」
「ん~~、その時はその時。どうせバレるんだから一緒でしょ?」
彼の顔を見ると困ったという顔ではありませんでした。
笑っていたのです。
「そうだな。じゃあ行くか!」
こうして私と彼の時間は一秒一秒を刻み始めるのでした──。
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