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ー突然だが、貴方は「猫系男子」と聞いてどんな性格を想像するだろうか。
「ツンデレ・飽き性」を想像したそこの貴方、答えはノーだ。
俺は俗に言う「猫系男子」だが、別にツンデレでも飽き性でもない。むしろ好きな事ややるべき事は誰よりも長く取り組む。
本来の「猫系男子」とは何なのか。この小説でそれを分かってくれれば幸いだ。
そんなわけで早速、「猫系男子」の生活を観察して頂こう。ー
7時45分。少し早めに登校して誰もいない教室の窓を開けるのが俺「宮本十和」の日課だ。吹き抜ける少し冷たい風が心地よい。俺は目を閉じてその風を感じた後、眼鏡を押し上げて朝の作業に入る。作業といってもクラス日誌を書いたり黒板を消し直したりという至極単純なものだが。しかし俺はその作業が好きだった。自分の生活する環境が整っていくのは気分がいい。
作業を終えて時計を見ると、8時15分を回っていた。
「...そろそろか」
俺は全開にしていた窓を少し閉めて自分の席に着いた。それから時間を置かずに朝練を終えた生徒が次々と教室に入ってくる。
「よぉ、相変わらず早ぇな宮本」
「委員長おはよー!!」
体育会系というのは不思議な生き物だ。話をするわけでもないのに「クラス委員長」というだけで毎朝こうして挨拶をするのだから。
「ん、おはよ」
軽く目線を合わせて挨拶を返せば、満足そうな笑みを浮かべながら席に着いた。
そのうちに他の生徒も教室に入り殆どの生徒が席に着いた。他愛も無い話題もバラバラな談笑の様子をいつも通り遠巻きに眺める。...が、今日は少し様子が違う。やけに話題が統一している。
「今日転校生が来るらしい」
話題の概要は大体こんな感じだ。
(そういえば昨日そんな話が...でもそんなに気になる事だろうか?)
そんな事を考えていると担任が入ってきて生徒に呼びかけた。
「えー、昨日お前らに伝えた通り、これから新たに加わる事になるクラスメイトを紹介する。...入れ!!」
「...はい」
静かな返事と共に入ってきた転校生が俺の生活に変化を与える存在になるとは常知らずに俺は小さく欠伸を浮かべた。
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