紅華学園

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「チッ……あーもう、授業始めるぞ!各チームに分かれて、適当に戦闘練習でもしてろ。班長は集合だ!」  ヤケになったカル先生は、2本目のタバコに火をつけると手招きをする。  あたしはまだへこんでるディオの手を引いて、ケイさんとツカサさんと他4人と一緒にカル先生の元へと走った。 「ここ最近、堕天使の動きが活発化してきている。昨日はこの街だけで被害者が5人、そのうち1人はさらわれたまま戻って来ない」  堕天使。黒い天使のような翼を持った、吸血鬼。  獰猛なケダモノのようで、人間も吸血鬼も見境なく襲っては必ず1滴残らず血を飲み干してしまう。最低最悪の吸血鬼。  彼らは20年前に突然現れた未だに正体不明の種族で、噂によればお月様に住んでいるとかいないとか。あたし達と同じ吸血鬼だとは思いたくないわね…… 「パパに聞いたわ。それで、あたし達カ……カ、カルマン隊が、正式に出動するようになるんでしょう?」 「お嬢、先に言うな。明日から、試しに俺と班長で1日巡回に出る。授業は免除だ。遅刻すれば飯抜き、いいな?」  カル先生は軽くあたしとディオを睨み、皆の反応を待った。  あたしはパパから聞いていたから、心の準備はできているつもりよ。でも皆は、特に人間の3人は不安そうに顔を見合わせている。  放課後のこの特別な授業。堕天使を討伐するために結成された部隊が街に繰り出して堕天使と戦えるように、訓練しているの。これは集大成ね。
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