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「ガ、ラ、ナ……その傷、3倍くらいに引き裂いてもいいよねぇ……?逃げないで。痛くしない、から……」
うるさいのはいつものことだけど、押しのけられたのが気に入らなかったのね。キュリアはゾンビよろしく、無表情のまま両手を前に出して1歩踏み出した。
「ぎゃっ!」
「…………ぎゃっ……?」
今の小さい悲鳴は、ガラナじゃない。そういえば、キュリアがこっちに来た時も同じような悲鳴が聞こえたような。
悲鳴が聞こえたのはもっと低い位置のような。
「あー……さっきからずっと踏んでるんだよ、キュリア」
苦笑いのケイさんが人差し指を真下に向け、5人の視線がキュリアの足元に向けられる。
「ディオ、さん……」
あ。……ディオのこと、すっかり忘れていたわ。
キュリアの足の下では、あたしにブン殴られたままずっとうつ伏せで倒れていたディオがシクシク泣いている。
仕方なくあたしがディオの手を掴んで引っ張り立たせてやると、ディオは情けなく泣きながら服を叩きつつケイさんに目を向けた。
「ケイさん、気づいとったんならもっと早う言うてやぁ」
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