funf,月面着陸

4/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
 「! これは、……おいしい。おいしいぞこれは、……」  感動したあまり、涙を浮かべている。初めて食べたのだろう。会えてよかったかもしれない。  「素敵な花をありがとう。これは君が持っていなさい」  「いいんですか?……なら、会えたお礼に、一本差し上げます」  テーブルに置いてある束から一本抜き取り、地球人に再び手渡した。  「い、いや、でも。大切なものだろう?」  「いえ、大丈夫です。研究なりなんなり使ってもらって構いません。僕らは宇宙にいる仲間ですから」  僕がそういうと、地球人はまだ涙を浮かべ、あふれ出た涙を手で拭った。  「……ああ、ありがとう。ありがとう」  そういうと、僕を抱きしめた。  「君は、名前はなんていうんだい?」  「僕は、モルゲンと言います」  「モルゲン、……ドイツ語で、確か、朝という意味だったような……まさかな。僕はフレディ。よろしく」  そういうと、フレディは手を出した。握手の意味だろうか。僕も手を出すと、フレディはぎゅっと握った。  「あえて光栄だ。モルゲン、君はどこからきたんだい?」  「遠い星から、月に行こうと思って、宇宙船を借りてここまで来ました」  「宇宙船、か。君のほかにもいるのかい?」  「はい、いますよ。優しい生物が」     
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!