zwei,宇宙空間

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 タコでも普通にしゃべることができる、というわけではなく、僕の住んでいた星に生まれた生物は、自分の体の中で、耳から聞いた情報を自分の分かる言語に置換してくれるのだ。とても便利な機能だと思っている。  「そうか。僕もそうだよ。僕は月へ行きたいんだ」  「つき? つきかあ。つきはいいよ。うつくしいけしきがみられるからね。でも、あぶないところだよ。がんばってね」  「どこへいけば、月が見られる?」  「つきは、そうだね、まずたいようをみつけないとね」  「太陽。とても熱い星だよね、そして、何より大きい」  「そうさ。とてもおおきいよ。だから、くれぐれもきをつけてね。それじゃ、がんばってね」  タコは触手の一本をこちらに向かって振っていた。僕も手を振り返した。  タコと別れ、聴いた情報を頼りに、また宇宙空間を泳いだ。  次に見えてきたのは、宇宙で咲く花だった。とても美しい。これは食べられると文献で見た。  この花は自ら発光している花で、この一輪を見つけると、近くにたくさんの花があると言われている。なので、空腹になったらこれを食べればいいということだ。まだ光を食べていなかったからちょうどいい。僕は一輪毟って食べてみた。ああ、おいしい。神秘的な味がする。  少し、辺りを探索してみようか。ポケットにでも入れておけば、腹が空いたときに食べることができる。     
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